先日、大学時代の友だち9人と集まりました。そのうちの3人が、今年から子どもが中学生。
3人とも中学受験をさせており、そのうち1人は「御三家」といわれる中学に合格。他の2人も、御三家に準ずる名門校に合格させており、私はただただ「すごいな〜・・・」と目を丸くしていました。
でも驚いたことは、それだけではありません。
子供たちは中学生になった途端、スマホ、スマホの毎日に。特に目をむいたのは、この話です。
「朝、ベッドの上に置かれている子どものスマホを見たら、LINEのメッセージが200件と表示されていた」
どうやら、お子さんのグループLINEのメッセージ数が、一晩で200件にものぼっていたそうです。
私たち親世代は、LINEを使うのは連絡事項がある時ぐらい。それを考えると「一晩で200件」というのは、ゾッとする数字ですよね。
携帯やスマホを持ち始める年齢は、年々低年齢化しています。最近では小学生が公園でスマホをしていたり、歩きスマホをしていたりする姿も見かけます。
そこで今回のテーマは、「どうする?子どものスマホ依存」。
- 子どもをスマホ依存症にさせないためにはどうすればよいか。
- 子どもがスマホを適切に使えるようにするにはどうすればよいか。
親として心がけたいことを、一緒に考えてみましょう。
恐ろしいスマホのトラブル
スマホにまつわるトラブルは、大人も巻き込まれる可能性が十分あります。
でも子どもはどうしても注意力や判断力が低いので、簡単にトラブルに陥りがち。大人に相談ができないまま、どんどん深刻な状況に追い込まれてしまうことが多いんです。
まずスマホにまつわる様々なトラブルを、見てみましょう。
好きなアーティストの曲をダウンロードしたら思わぬ事態に
A君はスマホで、好きなバンドの曲や流行っている曲を次々とダウンロード。翌月、お父さんのクレジットカードからダウンロード代が数万円も支払われることに・・・。
パスワードを見破られて、他人に買い物をされていた
Bさんは、SNSも通販サイトも全部同じパスワードにしています。さらにパスワードを忘れないように、名前と誕生日を組み合わせたものに。
すると数か月後、Bさんのもとに覚えのない買い物の請求書が届きます。さらにSNSでも、勝手に書きこみをされてしまいました。
写真をSNSに投稿したら、ストーカー被害に遭った
Cさんは友だちと撮った写真を、ツイッターに投稿しました。するとその数日後から、自宅付近を見知らぬ人につけまわされるように・・・。
ちょっとした発言が大炎上。外出もできない日々に
D君がツイッターで、ライバルのスポーツ少年団の悪口を書いたところ大炎上。どこから見つけてきたのか、D君の顔写真までネットに載せられ、D君は外に出られなくなってしまいました。
昨日、LINEで話した友だちが急によそよそしく・・・?
Eさんは夜、友だち2人とLINEで話していました。会話のなかで、Eさんは2人に「私たち、友だちじゃないの」とメッセージを送りました。
翌朝、学校に行くと、他の2人はEさんを避けるように・・・。Eさんは学校に行くのが嫌になってしまいました。
知らない人からメールが来たので返信をしたら、その後大量の迷惑メールが
F君はある日、知らない人からメールを受け取りました。F君はすぐに「間違いではないですか?」と返信。
すると数日後から、大量の迷惑メールが届くようになってしまいました。
子どもが出会い系サイトを見ていた
Gさんのお母さんは、ある日、Gさんが「出会い系サイト」を見ていると知りビックリ!娘が性犯罪などに巻き込まれるのではないかと、不安な毎日です。
スマホにまつわるトラブルはまだまだありますが、主にこんな事例が挙げられます。どれも、大人なら避けることができたり、すぐに解決できたりするものですね。
でもスマホ世代の子どもたちは、どうも個人情報やプライバシー等に対する意識が希薄。面識がない人との距離感も、大人とはかなり違います。
そんな子どもたちの意識を変えるのは、はっきり言って至難の業。
なので、私たち大人の感覚をそっくり持ち込んで、頭ごなしにスマホを否定するのでは効果はありません。
スマホの機能や特性をお子さんと一緒に調べ、そのうえで「自分がされたら嫌なこと」や「巧みな詐欺の手口」などを話し合うことが必要です。
子供のスマホ依存シグナルとは?
スマホのトラブルから子どもを守るためには、まず第一歩として「スマホ依存のシグナル」を見極めることが大切です。
お子さんがスマホ依存になっていないか、以下のリストを参考にしてチェックしてみましょう。
- 食事中もスマホを見ている。もしくは手元に置いている。
- 宿題や習い事の練習等やらなければならないことをする時でも、まずスマホを見る。
- 人と会話をする時も、スマホを見ている。
- スマホをビニール袋などに入れて、お風呂にまで持ち込む。
- スマホを忘れると、家に取りに帰る。
- スマホが手元にないと落ち着かない。
- 寝床にスマホを持ち込み、毎日寝不足になっている。
- 歩きスマホ、あるいは自転車に乗りながらスマホをしている。
チェックしてみると、大人でも結構ドキリとするのではないでしょうか。
これらの兆候が見られたら、まずスマホ依存症予備軍か、すでにスマホ依存症になっていると思われます。スマホ依存度が高くなればなるほど、スマホトラブルに巻き込まれる危険性も高くなります。
お子さんの様子を見て、ぜひチェックをしてみてください。
子どもをスマホのトラブルから守るには?
ではいよいよ、子どもをスマホトラブルから守る方法を考えていきましょう。
対策はダウンロードやLINE等、トラブル別にご紹介していきますが、まず大前提として、以下の事項を心がけることが大切です。
スマホを初期設定のまま使用しない
スマホを初期設定のまま使用すると、GPS機能がオンのままになっており、撮った写真から撮影場所がわかってしまう可能性があります。
またフィルタリング機能も制限レベルなども、機種によって異なります。
スマホを買ったら必ず、機能のオン・オフやフィルタリング機能の制限レベルなどを確認・設定しましょう。
親がいつ見てもいいように、ロックはかけさせないようにする
子どもがスマホにロックをかけていると、何か怪しいサイトを見ている可能性があります。
でも子どもは説明書などを見なくても、ロックをかける方法などすぐに知ってしまいます。
親はロックを解除する方法を、あらかじめ知っておきましょう。
スマホの充電はリビングでさせる
スマホを充電する頻度から、お子さんがどれだけスマホを使っているかを把握することができます。
食事中や入浴中、勉強中は使わせないようにする
スマホ依存を避けるためにも、食事中・入浴中・勉強中のスマホは禁止するようにしましょう。
特に食事中のスマホは周囲に不快な思いをさせるので、マナー違反であることも伝えましょう。
夜9時以降は使わせない等、時間のルールを設ける
夜中にメールやLINEをやり取りすることは、自分にも相手にも迷惑です。
「夜9時以降は使わない」という家庭のルールをもうけ、友だちにもそう伝えるよう、お子さんに言い聞かせましょう。
この5つを前提として、「恐ろしいスマホのトラブル」で紹介した事例別に対策を考えていきましょう。
スマホのトラブル具体的な対策方法
ダウンロードは保護者の監視のもとで行なおう
音楽や映像、本やチケットなどのダウンロードは、子どもだけでさせないようにしましょう。
なかには無料でダウンロードできるものでも、違反のものもあります。
違法なダウンロードは「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」が課せられる立派な犯罪です。
料金の有無に関わらず、ダウンロードは保護者の監視のもとで行なうようにさせましょう。
パスワードは見破られにくいものにしよう。
パスワードは見破られにくいものにすることが大切です。
単に名前をローマ字にしたものや、誕生日を組み合わせたもの、qwertyやgjmptwなどパソコンやスマホのキーボードの配列をそのまま入力したものは危険です。
自分や家族と関係のない文字列にしたり、大文字と小文字、数字や記号を組み合わせた8文字以上のパスワードにすると比較的安心です。
パスワード生成ツール
こまめに変更するのも忘れずに。
SNSは場所や人物が特定できないよう注意
SNSへの書き込みは、意外な点から住まいや学校などがわかるものです。
テレビ番組「水曜日のダウンタウン」でも検証していましたが、ツイッターに載せた写真だけで、現在の居場所やよく行く場所というのはわかってしまうんです。
書き込んだ言葉の端々や、自宅から見える風景、写り込んでいる制服等は、いずれも身元や居場所を思いっ切りさらしてしまいます。
SNSに載せる書きこみや写真は、個人情報がわからないよう、十分すぎるほど注意しましょう。
ネットへの書きこみは、町なかで拡声器で叫んでいるのと同じ
ネットを見ていると、まるで日頃の恨みを晴らすかのように悪口雑言や差別発言を書いている人がいますね。でもネットに載せた言葉は世界中に拡散され、消えることはありません。
ネットに悪口を書くことは、町なかで拡声器で悪口を叫んでいるのと同じこと。
特定の人の悪口をネットで書くと、最悪の場合、侮辱罪や名誉棄損罪になり書類送検されることもあります。
「誰が書いたかわからないから大丈夫」と思うかもしれませんが、「誰が書いたか」は意外なほどすぐにわかります。アカウント名はどんなに本名を隠しても、ついつい「自分」にまつわる言葉をつけてしまうもの。
また日頃の書きこみから、だいたい誰が書いたかは見当がつきます。
「匿名だから」と高をくくって悪口などを書くと、炎上して、すぐにネットで「吊し上げられる」ことになります。そうなると、たとえ逮捕まではされなくても、かなりの社会的制裁を受けることに。
ネットに悪口や差別発言を書くのはやめましょう。
LINEやメールの言葉は、誤解されないような表現を心がけよう
Eさんの「私たち、友だちじゃないの」という言葉は、「私たち、友だちだから助け合いましょう」という意味でしょう。でも他の2人は「私たちは友だちではない」と受け取ってしまったのかもしれません。
このようにLINEやメールの言葉は、話す言葉とは違い誤解を生みやすいです。
たとえば、
「何で来たの?」(意味:「どんな交通手段で来たの?」)とメッセージを送ったら、相手は「どうしてあなたが来たの?」と言われたととらえ、不快に思うかもしれません。
「お菓子持っていこうか?」と聞かれ「う〜ん、いいよ」(「お腹の調子が良くないからいらない」という意味)などと返信したら、相手は「お菓子を持ってきていいよ」と受け取ることでしょう。
相手のメッセージで「ん?」と疑問に思うようなことがあったら、きちんと相手に確認をするようにしましょう。不快に思ったからといって、理由も言わずに無視や仲間外れなどをすることは、絶対に避けたいものです。
またメッセージを送る側も、「誤解されやすい表現になっていないか」をよく考えてから送るようにしましょう。
さらにLINEやメールでいちばん恐ろしいのは、「即レス」というプレッシャーです。もしお子さんがLINEにつきっきりで「すぐにレスしなきゃ」と考えているようでしたら、ちょっと引き留めてあげましょう。
即レスにとりつかれると、スマホなしではいられなくなり生活が破たんします。
「すぐに返信なんてしなくてもいいのよ」と話してあげましょう。
そしてお子さんがメールやLINEを送る場合には、「すぐに返信してくれなくてもいいよ」と一言そえるようアドバイスをしましょう。
知らない人からのメールは徹底的に無視
たまに、知らない人からいきなり「元気〜?」「メアド変えました」といったメールが来ることがあります。それに対して「間違いではないですか?」などと返信をするのは絶対にやめましょう。
そこから個人情報がばらまかれ、架空請求などの迷惑メールが来るようになってしまいます。
返信しないと、徐々に「何で返信しないの?」「おい、ふざけんなよ」などと乱暴な言葉でメールを送ってくるようになる可能性もありますが、徹底的に無視。
相手は自分にメールをくれているのではなく、個人情報を得るために無差別にメールを送り付けているだけなので無視をして大丈夫です。
また高額当選メールやチェーンメールなども返信やクリック、他人への送信などは絶対にせず、すぐに削除しましょう。
フィルタリングをかけて有害サイトをシャットアウトしよう
有害サイトには「出会い系」のほかアダルトサイトや、暴力や薬物などを助長する犯罪系サイト、いじめの温床となる学校裏サイトなどがあります。いずれのサイトも虎視眈々と子どもたちをねらい、犯罪に誘い込もうとしています。
そんな有害サイトから、子どもたちを守ってくれるのが「フィルタリング機能」。
現在、青少年インターネット環境整備法により、18歳未満の子どもが使うスマホにはフィルタリング機能を設定することが義務づけられています。しかし機種によって制限の厳しさは異なります。
お子さんのスマホはどれぐらい厳しく設定されているかを確認し、不安ならより厳しいレベルに設定しなおしましょう。
さらに有害サイトの恐ろしさについて、お子さんと話し合うことも大切です。
まとめ
お子さんが塾に通い出したことがきっかけで、スマホを買ったというご家庭の方も多いことでしょう。
確かにスマホは非常に便利な道具なので、夢中になるのも仕方がありません。でもだからこそ、親子で自制・自衛することが大切です。
もしお子さんの元気がなかったら、もしかするとLINEいじめに遭っていたり、コメントが炎上していたりするのかもしれません。怪しいデータをダウンロードしてしまい、親に打ち明けるかどうか悩んでいるのかもしれません。
日頃から家族内でのコミュニケーションを心がけ、お子さんが悩みを打ち明けられる環境を作っておきましょう。
またそうすることが、お子さんのスマホ依存を防ぐ一番の方法です。