今、多くの女性は結婚後も仕事を続けています。
一見、喜ばしいことに見えますが、ここで新たな問題が発生。
それは「マタハラ」。
妊娠した女性社員に対し、退職の強要や降格をしたり、嫌味を言ったりする「マタニティ・ハラスメント」です。
- 「旦那が稼いでるんだから、仕事を続ける必要はないだろう」
- 「妊娠は病気じゃないんだから、特別扱いはしないぞ」
- 「休んでも給料もらえるなんてズルいよね」
等々・・・。
そんな言葉を毎日投げつけられた結果、ストレスで流産をしたり、堕胎や自殺を考えたりする人もいます。
また子どもがほしいのに、マタハラが怖くて子どもが持てないという人も・・・。
もはやマタハラは、労働や雇用という枠組みの問題ではありません。
生命にかかわる大問題なんです。
実は私も以前、大きなお腹を抱えて毎日通勤していました。
幸いマタハラにあうことはありませんでしたが、出産予定日6週前に産休に入った時には、正直ホッとしましたね・・・。
「ああ、これで心置きなく子どもを産める」と緊張の糸が切れ、帰宅した途端に玄関でへたりこんでしまいました。
おそらく妊娠中、かなり気を遣っていたんでしょうね。
無意識のうちに、マタハラにあわないよう行動していたのかもしれません。
やっと芽生えた命の灯を消すかもしれない「マタハラ」。
そもそも命の灯をともすことすら許されない「マタハラ」。
今回は、マタハラの実態や防止策について考えていきます。
Contents
そのマタハラ、法律違反です!
マタハラは、「ブラックマタハラ」と「グレーマタハラ」に分けられます。
ブラックマタハラ
「ブラックマタハラ」は、法律的にアウトのマタハラ。
妊娠を理由に、解雇・降格・契約更新の拒否・退職の強要・減給などをすることです。
「マタハラに法律違反なんてあるの?」などと驚く人もいるかもしれません。
でも妊娠中の女性社員に不利益な取り扱いをすることは、「男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法」に違反しているんです。
グレーマタハラ
一方「グレーマタハラ」は、違法とまでは言えませんが問題とされるもの。
妊娠中の女性社員を仕事から外したり、重要な連絡をしなかったり、「休んで給料もらえていいよね」などと言うのもグレーマタハラにあたります。
マタハラにあっている女性は、どれぐらいいるの?
では実際に、マタハラにあっている女性はどれぐらいいるのか見てみましょう。
正社員は5人に1人がマタハラに!
厚生労働省の発表によると、正社員として働く女性の約22%が「マタハラにあった」と回答。
約5人に1人が、「マタハラにあった」と感じています。
特にキャリアを積んだ女性だと、責任ある仕事を任されているためにマタハラにあう場合が
- サポートしてくれる社員や代わりになる人材がおらず、妊娠中に過酷な残業を強いられる。
- 体調不良や産休・育休で休んだとき、「休んでるのに高い給料がもらえていいね」などと言われる。
こんなケースが多いようです。
また採用されてから日が浅いと、妊娠をコントロールするようなことを言われる場合も。
- 「大事なプロジェクトが控えているから、しばらくは妊娠しないほうが君のためだよ」などと言われる。
女性に対し、このような言葉を投げつけることはマタハラであり、なおかつセクハラでもあります。
派遣社員は約半数がマタハラに!
マタハラは、非正規雇用となるとさらに深刻。
特に派遣社員の「マタハラ被害率」は高く、約半数が「マタハラにあった」と答えています。
現在、法改正により、正社員でなくても産休・育休がとれるようになりました。
しかし実状はまだまだ追いついていない様子。
事業主も労働者も「正社員でないと産休・育休はとれない」と思い込んでいる人が多いです。
また、なかには法律を認識しているにも関わらず「うちの会社では産休とれるのは正社員だけだから」と、退職を促す企業もあります。
でも一企業の慣習よりも、国の法律が優先されるのは明らか。
女性の非正規社員を「企業の慣習」で辞めさせるのはマタハラであり、法律違反でもあります。
マタハラの根っこは、昭和の良妻賢母信仰!?
マタハラには「ブラックマタハラ」と「グレーマタハラ」があると書きました。
それは法律違反か否かによる分け方ですが、性質によって分けることもできます。
タイプは主に4つ。
- 昭和の価値観押しつけ型
- いじめ型
- パワハラ型
- 追い出し型
です。
1つひとつについて説明すると、
「いじめ型」は、同僚女性らによるものが多く、「仕事がこっちにまわってきて迷惑」「何様? 妊婦様?」などと悪口を言うタイプ。
「パワハラ型」は上司に多く、「妊婦だからって早く帰るのは許さない」「残業できない社員なんて使えない」などと労働を強いるタイプ。
「追い出し型」は経営者や人事部に多く、「妊娠したら辞めるのが当社のやり方だから」などと言い、女性社員を追い出すタイプです。
そして、私が個人的に「これがマタハラの元凶では?」と感じるのは「(1)昭和の価値観押しつけ型」です。
- 「旦那が稼いでるんだから、妻は稼ぐ必要ない」
- 「妊娠中の奥さんに働かせるなんて、旦那さん、甲斐性ないの?」
などと言い、女性社員を追い詰めるタイプです。
この「昭和の価値観押しつけ型ハラスメント」は、私の経験上、子どもが産まれてからいっそうひどくなります。
- 「子どもを保育園に入れるなんてかわいそう」
- 「親の愛情が足りなくなる」
そんな言葉を投げつけられることがあります。
私は一度、小児科のお医者さんにこんなことを言われました。
「まあ、保育園のお子さんは、ほとんど保育士さんが子育てしてるからね」
子どもを思うが故に2時間以上診察室で待ち、やっと診てもらえたと思ったら、この仕打ち。
帰宅後、私は家でワンワン泣いてしまいました。
(※後日談:「このお医者さん、プライドが高そうだな〜」と察知した私は、診てもらったお礼の手紙をキレイな便箋に書いて送りました。
そしたら次回の診察からものすごく親切になり、「お母さん頑張ってるね!」と言ってくださいました。「働く母」には、こんな処世術も必要です。)
それはさておき、マタハラの根っこには、そんな「育児は母親がつきっきりですべき」という考えがドッカと居座っている気がします。
確かに子どもは宝物です。
親の愛情が必要ということは、いつの時代も変わらないでしょう。
だからこそ、妊婦やワーキングマザーへのハラスメントは言語道断。
子育てには、母親が健やかでいることが何より大切。
ハラスメントで女性社員の心と体を蝕むことは、「女性社員の子ども」を蝕むことにもなるのです。
私のマタハラ防止策5つ
現在、マタハラが怖くて妊娠できなかったり、妊娠がわかったけど職場に報告できなかったりと、悩んでいる方もいることでしょう。
そこで私が実践した、マタハラ防止策をご紹介します。
毎日、仕事の進捗状況を周囲に知らせる
私の仕事はデスクワークで、毎日大量の文書を読んだり書いたりしていました。
また締切のある仕事だったので、「締切に間に合いそうか」「いつ頃終わりそうか」という目安をつけることが不可欠。
1日でも休むと予定が狂い、結構な痛手となります。
そこで私は妊娠中、進捗状況を毎日周囲に知らせました。
上司が休んでいたり外出したりしていた場合は、メールで報告。
万が一私が休んでも、「ここまで進んでいるなら大丈夫」「間に合わないかもしれないから、他の人に代わってもらおう」と上司が判断・対応できるようにしました。
机の上や引き出しを整理整頓する
他の人が、私の机から書類等を見つけ出せるように、机の上や引き出しを整理整頓しました。
ファイルにインデックスまでつけ、私がいなくても、どこに何があるかわかるよう徹底しました。
出産に関わる話題をしない
「会社は仕事をする場である」と肝に銘じ、出産にまつわる話は封印。
相手から出産について聞かれれば話しますが、自分からは一切しませんでした。
マタニティ・ハイになると一気に「妊婦様認定」され、ハラスメントの的になる恐れが。
あくまで「いち社員」であることを心がけました。
感謝の気持ちを持って、仕事に集中!
妊娠中は定期健診などもあり、どうしても会社を休みがちになります。
その分、やはり周囲には心配も迷惑もかけることになります
職場では、常に感謝の気持ちを表すようにしましょう。
また出勤したら、いつも以上に仕事に集中することも大切です。
ちょっと高級なお菓子を配る
産休前や育休後には、ちょっぴり高級なお菓子を配りました。
「自分では買えないけど、いただくと嬉しい」
そんな有名洋菓子店のものなどを配ると、非常に喜ばれます。
「お金」で感謝の気持ちを表せるのなら、そこはケチらずに奮発するのがおすすめ。
「お金で解決するなんて」と思われるかもしれませんが、今後何年も働き続けるのなら、多少のことはお金で解決しても良いと思います。
下世話な話かもしれませんが、正直に言って、やはり相手の態度が変わってきますよ。
さいごに
女性の社会進出に伴い、新たに噴出した問題「マタハラ」。
「これってマタハラ?」と思ったら、一人で悩まないで!
会社の窓口や都道府県の労働局などに相談すれば、意外な突破口が見えてくることもあります。
ちなみに私の友人は妊娠中、上司によるマタハラで転職。
その後、バリバリと活躍しつづけています。
マタハラから身を守るために、思い切った行動を起こすのもひとつの手です。
「自分を守ることは、赤ちゃんを守ること」
そう考えて、笑顔と前向きな気持ちを忘れずに頑張っていきましょう。
でも無理はしないでね。