先日、漫画家のさくらももこさんが亡くなりました。
死因は乳がん。
昨年、小林麻央さんが亡くなった時にも「乳がん」の恐ろしさに震えましたが、また乳がんが、惜しい人を連れ去ってしまいました。
実は私の身近にも、乳がん経験者が3人います。
「経験者」と言っているのは、3人とも乳がんを克服しているからです。
だからと言って、3人とも何か共通の特効薬を試したわけではありません。
温存手術、全摘、抗がん剤と治療法はさまざま。
途中、生命の危険もありました。
でも現在、3人とも元気に過ごしています。
とはいえ、やはり「がん」は恐ろしいもの。
「乳がんって、いったいどんな病気?」
「自覚症状はあるの?」
「乳がんを防ぐことはできるの?」
「どんな人が乳がんになりやすいの?」
「もし乳がんになったら…?」
今回は、女性なら誰でも気になる「乳がん」について、じっくり考えていきます。
Contents
乳がんを克服した3人。発見・治療・現在の生活は?
私の身近で、乳がんになった3人。
それは学生時代の友人、義母、叔母です。
友人は6年前、40歳直前で乳がんを発見。
小さなしこりが気になり、病院で検査したところ、最初は「異常なし」との診断。
その診断に納得のいかなかった彼女は、別の病院に頼み込み再検査。
早期の乳がんと判明しました。
友人は焦りましたが、「すぐに悪化するわけではない」とのことで、2〜3週間後に乳房温存手術を。
約10日間入院し退院。
その後、しばらく放射線治療に通っていたようです。
現在は、仕事と家事・子育てを両立しながら元気に過ごしています。
今もたまに病院で経過をみているようなので、完全に克服とはいえないのかもしれませんが、再発もないようです。
義母は60代で乳がん発覚。
外から見てもわかるぐらい、しこり・へこみ等があったため病院へ。
ステージ3でリンパ節や骨にも転移しており、手術では取り切れない状況でした。
でも8年経った今でも元気。
骨転移があるため、たまに胸部が痛むようですが、普通に日常生活を送っています。
がんがかなり進行していたため、抗がん剤治療をしていましたが、副作用で敗血症になり危険な状態に。
奇跡的に快復した後「もう抗がん剤やイヤ!」と言い張り、その後は特に何もしていません。(お医者さんと大ゲンカになったそうですが・・・)
やや珍しいパターンのようです。
叔母は30代前半で乳がんに。
お風呂上りにウーンと伸びをし、何気なく脇を触ったところ、ボコッとしたしこりが。
翌日、すぐに病院に行き即入院。
乳房とともに子宮・卵巣も取る手術をしました。
叔母の場合、「子宮や卵巣等も残しておくと再発の恐れがある」とのことだったようです。
(※あくまで当時の治療方法です。)
叔母にはすでに2人子どもがいたため、乳房とともに子宮・卵巣も切除。
その後40年以上、元気に過ごしています。
がんは本当に千差万別。
3人いても、進行度・治療方法等は三者三様です。
だからこそ「がん」は難しい病といえますが、逆に言うと「治療法が合えば、助かる可能性は十分ある」ということです。
では乳がんとは、いったいどんな病気なのか、改めて見てみましょう。
乳がんってどんな病気?
今、乳がん患者は年々増加。
「乳がん」と診断される人は、1年間で6万人超。
日本人女性の16人に1人が、乳がんにかかると言われています。
(※別冊NHK「きょうの健康 乳がん」より)
乳がんとは?
では「乳がん」とはどんな病気なのかというと、「乳腺組織に発生する悪性腫瘍」とされています。
乳腺組織とは母乳をつくる場所。
その乳腺組織の乳管内壁の上皮細胞ががん化し、増殖していくのが「乳がん」です。
その他、乳腺の小葉にできるがんや粘液がんなどがあります。
乳がんは2種類ある。その違いは?
乳がんは2つに分けられます。
それは「非浸潤がん」と「浸潤がん」。
非浸潤がんは、がんが乳管内にとどまっている状態で、血管やリンパ管に入って転移することはありません。
いわゆる「早期がん」の状態です。
そして浸潤がんは、がんが一部でも乳管外に出た状態。
がんが乳管の壁を破り、塊をつくり増殖。
血管やリンパ管に入り転移を起こします。
乳管内にとどまる「非浸潤がん」を放置すると、「浸潤がん」に移行。
マンモグラフィや超音波検査で「非浸潤がん」の段階で見つかれば、手術で完治できるとされています。
もちろん浸潤がんになっていても、早期の段階なら完治の可能性は高くなります。
※参考ページ
・別冊NHK「きょうの健康 乳がん」
・「乳がんを学ぶ」
https://ganclass.jp/kind/breast/about.php
・「国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/
乳がんの自覚症状とは?
乳がんで気になるのが、自覚症状。
どんな症状が出たら、乳がんの疑いがあるのかを見てみましょう。
乳頭からの分泌物。
乳管内のがん細胞が出血すると、乳頭から血液の混じったような分泌物が出てきます。
乳頭のびらん・ただれ
がんが乳管を伝い乳頭に達すると、乳頭表面に「ただれ」などの異常が現れます。
しこり
乳房のしこりは、ほとんど良性と言われています。
しかし、しこりがコリコリと硬く、あまり動かない場合、がんの疑いがあります。
少しでもしこりに気づいたら、自己判断せず乳腺専門医に相談しましょう。その他、代表的な自覚症状は以下の4つです。
- 乳頭の陥没
- 乳房周辺の皮膚のひきつれ
- 乳房周辺の皮膚の色の変化
- わきの下のグリグリ
私の叔母は、わきの下のしこりに気づき、即入院・手術。
義母は梅干しのようなしこりが明らかにあり、くぼみ・ひきつれも起こしていました。
今考えると、現在元気なのが不思議なぐらい進行していたようです・・・。
※参考ページ
・別冊NHK「きょうの健康 乳がん」
・「国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/
https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000ul0q-att/144.pdf
・「乳房再建ナビ」HP
http://nyubo-saiken.com/cancer/02_02.html
乳がんを発見するには?
がんは早期発見が大切。
ではどうすれば、乳がんを早く発見できるのでしょうか。
まずはセルフチェックをしよう
乳がんは、検診のマンモグラフィや超音波検査でわかる場合も多いです。
しかしセルフチェックし、少しでも異変を感じたら、すぐに病院に行くべき。
私の叔母も異変に気づき、翌日すぐに仕事を休んで病院に行ったのが良かったと言っています。
乳がん検診は2年に1回程度。
検診だけに頼らず、セルフチェックも心がけるのが早期発見の近道です。
ではセルフチェックをする際、どんな点をみればよいのでしょうか。
セルフチェックのポイントとは?
生理終了から1週間前後に行なう
セルフチェックを行なう時期は、生理終了から数日〜1週間後ぐらいが良いでしょう。
なぜなら、乳房が最も柔らかい時期だからです。
生理中は胸が張りやすいため、異変があっても見逃しがち。
生理終了後、数日経ってから行なうのがおすすめです。
なお、閉経後の人は毎月、日にちを決めて行ないましょう。
乳房の大きさ・形・皮膚症状などをチェック
まず鏡の前に立ち、両腕を下げた状態で、左右の乳房を見ます。
「大きさ・形に違いはないか」「乳首周辺にへこみ・ひきつれがないか」「ただれ等がないか」などをよく見ます。
その後、腕を上げた状態で、同様のチェックをします。
寝転んでしこりをチェック
次にあおむけになり、しこりの有無をチェックします。
平たい床にペターンと寝るより、少し背中が反った状態がベター。
薄い枕や折ったタオルを背中に敷き、あおむけになった状態で、乳房周辺のしこりをチェックします。
わきの下にしこりがないかも、よくチェックしましょう。
乳がんは自分で発見することができる、数少ないがんです。
少しでも異変を感じたら、すぐ病院に行きましょう。
私の周囲の「乳がん克服者」は皆、自分で発見し、克服しています。
※参考ページ
「乳がん.jp」
https://www.nyugan.jp/self/index.html
「乳がんを学ぶ」
https://ganclass.jp/kind/breast/selfcheck.php
「コニカミノルタ ピンクリボン運動」
https://www.konicaminolta.jp/pinkribbon/check/index.html
ただし検診も大事!自覚症状がないのに「乳がん」と言われることも・・・。
では自覚症状がなければ、乳がんではないと言えるのでしょうか?
残念ながら、自分では気づかない場合もあります。
早期の非浸潤がんの場合、まだ「しこり」がわかるほどではありません。
自覚症状はないのに、マンモグラフィや超音波検査で早期のがんが発見され、手術になる場合もあります。
セルフチェックも大切ですが、定期的な乳がん検診も必ず受けましょう。
乳がんになりやすい人は?
がんは、誰でもなる可能性があります。
一概に「こういう人はがんになって、こういう人はならない」とは言えません。
ただ、比較的「乳がんになりやすい要素」というものはあります。
ではどんな人が、乳がんになりやすいのでしょうか。
母親や姉妹が乳がんになった人。
乳がんには「遺伝性乳がん」というものがあります。
さらに家系内に乳がんの人が複数いる場合は、乳がんになりやすい体質である可能性が高いです。
これを「家族性乳がん」といいます。
母親や姉妹に乳がん患者がいる女性は、いない女性に比べてリスクが2倍以上といわれています。
40歳未満で乳がんになった人は、遺伝性乳がん・家族性乳がんである可能性が高いと言われています。
エストロゲンの分泌期間が長い人
乳がんはエストロゲンの分泌に、強く影響されるもの。
エストロゲンの分泌期間が長い人ほど、リスクは上がると言われています。
具体的に言うと、以下の人があてはまります。
- 初経が早かった人(11歳以下)
- 出産経験のない人
- 初産が30歳以上の人
- 閉経が遅かった人(55歳以上)
この4つの要件は、すべて「女性ホルモン・エストロゲンの分泌期間が長いこと」になります。
妊娠・授乳中は生理がないため、エストロゲンの分泌がストップ。
よって妊娠・授乳期間が通算で長い人ほど、リスクは低くなります。
また初経が早く閉経が遅いと、その分エストロゲンの分泌期間が長くなるため、乳がんのリスクは上がると言えます。
肥満の人
脂肪はエストロゲンの供給源。
よって体脂肪が多いと、乳がんリスクが高まるとされています。
また乳がんになった後も、肥満の人は再発率が高いと言われています。
乳がん予防には食事の管理や、適度な運動で肥満を防ぐことが大切です。
喫煙・飲酒をする人
エタノールの摂取量が多いほど、乳がんリスクが高まるというデータが出ています。
また喫煙も乳がんリスクを高める可能性大。
乳がんを防ぐためには、喫煙・飲酒はなるべく控えましょう。
国立がん研究センター 予防研究グループ「肥満指数(BMI)と乳がんリスク」
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/3470.html
「飲酒と乳がん罹患との関係について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/373.html
コニカミノルタピンクリボン運動
https://www.konicaminolta.jp/pinkribbon/true_or_false/index.html
https://www.konicaminolta.jp/pinkribbon/qa1/question_03.html
J.POSH HP
http://www.j-posh.com/cancer/faq.html
西日本産業衛生会HP
https://www.nishieikai.or.jp/headquarters/breast/
よくわかるがん・心臓病・脳卒中
https://www.ntt-east.co.jp/kmc/guide/neurosurgery/pdf/shinkei_kumo.pdf
もし乳がんと言われたら・・・?
ではもし乳がんと言われたら、どうすれば良いのでしょうか。
治療法を医師とよく相談しよう
乳がんの治療は、主に3つ。
「手術」「放射線療法」「薬物療法」です。
がんの大きさや数、位置、広がり方、がんの性質、リンパ節への転移の有無などにより、治療法は変わってきます。
もしがんと言われたら、医師とよく相談することが本当に大事!
私の義母の場合、最初は「転移していない。手術で完治する」と言われていましたが、いざ手術してみたらリンパ節への転移が判明。
がん細胞を全て取り切れなかったため、手術後は抗がん剤投与へ。
しかし抗がん剤の副作用がひどく、自宅で敗血症を起こし、夜中に救急搬送。
「今夜が峠」と言われ、夫とともに覚悟をしていましたが、奇跡的に復活。
それから8年経ちましたが、特に治療もせず元気に暮らしています。
本人曰く「抗がん剤のせいで生活の質が落ちるのはイヤ。やめてよかった」とのこと。
主治医の先生と相当ケンカしたそうですが・・・。
(※本記事は、決して抗がん剤を否定するわけではありません。)
手術の方法、抗がん剤の種類や仕様の有無、放射線療法など治療は多種多様。
医師と、自分の希望とを照らし合わせ、よく相談することが非常に大切です。
信頼できる知人に打ち明けてみよう
がんは一人で抱えると苦しいもの。
口の堅い信頼できる知人がいれば、打ち明けてみるとよいでしょう。
乳がんは予後がよいがんのため、経験者が意外なほど多いです。
打ち明けてみると、様々な経験談を聞ける場合があります。
「この人になら・・・」と思える人がいれば、一人で抱え込まず思いを吐き出してみてはいかがでしょうか。
入院する時は、はおれる服を持っていこう
余談ですが、乳がんで入院する時は「はおれる洋服」を持っていきましょう。
義母によると、乳がんの手術をすると、腕を上げるのが非常にしんどいとのこと。
急きょ病院の売店で、マジックテープで前を留められるブラウスを購入しました。
入院する時は、はおれるタイプの服を何枚か持っていくと良いですよ。
高額療養費制度を使おう
乳がんの治療は、手術・抗がん剤等々、非常にお金がかかります。
そんな時に助かるのが、高額療養費制度。
1ヶ月(1日から月末まで)にかかった医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が、後で還付される制度です。
なお「高額になる」と事前にわかっている場合は、「限度額適用認定証」を提示する方法が便利。
事前に、加入している医療保険で「限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関・薬局の窓口に提示。
そうすると、窓口での支払額が自己負担限度額までになります。
「一度でも、多額のお金を払うのは厳しい」と思うなら「限度額適用認定証」を提示する方法が良いでしょう。
私の義母は、高額療養費制度を活用しています。
また確定申告の時期になったら、医療費控除も必ず申請しましょう。
全国健康保険協会HP
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030/r150
さいごに
乳がんは全ての女性にとって、他人事ではない病です。
まずは検診やセルフチェックで、早期発見に努めるのが大切。
万が一乳がんと診断されたら、自分の希望を医師とよく相談し、自分に合った治療を探っていきましょう。